前立腺がんって他のがんよりも性質がいいって聞いたけど本当ですか?

食生活の欧米化

前立腺がんは北米の黒人・白人に多発するがんで、欧米ではがん死者の20%を占める病気です。

日本人にはそれほどは多くありませんでしたが、食事の欧米化に伴って、近年、急増してきています。

加齢とともに患者数が増大し、80歳以上では1万人当たり20-30人以上に達します。

 

前立腺がんには、がん細胞の性質により、進行がゆっくりで転移しにくい性質の良いものと、進行が速くて転移も起こしやすい性質の悪いものに分けられます。

高齢者で前者の場合には特別の治療を施さないこともあります。

また、80歳以上の死者のうちの20%に前立腺がんが発見されたという報告からも分かるように、前立腺がんの中には、特別の処置を施さなくても死亡には至らない位、性質の穏やかなものがあることは確かなようです。

 

前立腺がんの発生原因はまだ明らかになっていませんが、男性ホルモンとの関連性があることは間違いありません。また、欧米人に多いことから、肉類やアルコール類の多量摂取も、このがんの発生に関連していると推測されています。

 

 

前立腺がんに特徴的な症状ってありますか?

 

前立腺がんは前立腺の外側部分に発生しやすいため、初期症状は、はっきりしないことが多くあります。

がんが大きくなるにつれて腫瘍が尿道を圧迫するため、排尿困難、頻尿、残尿感などの前立腺肥大症と似た症状を示すようになります。このため、前立腺肥大症と前立腺がんとを症状の特徴から区別することは困難です。

 

前立腺がんでは、近くにある精嚢や直腸、膀胱へ浸潤が起きやすいため、浸潤した器官の症状で気付く場合があります。

また、前立腺がんは、比較的初期でもリンパ腺や骨に転移しやすいために、腰痛などが出たり、遠隔転移した場合には、その器官に症状が出ることもあります。

 

 

前立腺がんの診断はどのように行われますか?

トイレ

がんのスクリーニングにまず行われるのがPSA検査です。

この検査は、数多くあるがんのスクリーニング法の中でもトップクラスの確度の高い検査です。PSA値が4.0-10.0ng/MLの場合にグレーゾーン、それ以上が危険ゾーンとなります。

グレーゾーンではがんの可能性がそれほど高いわけではないものの、PSA値を必ずフォローして行く必要があります。

 

PSA値が10.0ng/MLを超えるとがんの可能性が高まりますので、前立腺がんに特化した検査が行われます。

一般的には、前立腺組織を採取してがん細胞の有無を調べる前立腺生研が行われます。

生研によってがん細胞が採取された場合、細胞に含まれる成分の種類によりがん細胞の悪性度を数値化したグリーソンスコアを算出します。

さらに、MRIにより、がんが前立腺内部に留まっているのか、前立腺外部にまで広がっているのかを判断したり、CTでがんの転移の有無を確認したり、さらに、骨シンチグラムにより骨への転移の有無を調べたりします。

 

 

前立腺がんと診断された場合の治療方法は?

前立腺がんの治療法は、がんの病期(ステージ)により異なってきます。

がんが前立腺内に留まっている場合には、手術によりがんを除去する根治療法の対象となります。

最近では、腹腔鏡を使った患者の体に負担の少ない手術や、ロボット(ダ・ビンチ)を使った細かい手術も行われるようになっています。

また、前立腺内にカプセルに入れた放射性物質を埋め込み、この物質から派生する微弱な放射線の働きで体内から徐々にがん細胞を死滅させる方法(密封小線源療法)も、初期がんの場合には有効な治療法です。

放射性物質の効果は約半年で失われるため、後でカプセルを取り出す必要はありません。

 

やや進行したがんに対しては、体外から前立腺に放射線を照射する外部照射療法が行われます。また、放射線療法とホルモン療法を組み合わせたり、転移がある場合にはホルモン療法が用いられたりします。ホルモン療法は、男性ホルモンの作用を抑えることを目的としたもので、去勢、男性ホルモンの産生を抑える薬を注射する、抗男性ホルモンあるいは女性ホルモンを投与するなどのいくつかの選択肢があります。この療法の効果は大きいものですが、5年以内に効果がなくなる場合があり、副作用が出ることもあります。

 

前立腺がんでは、抗がん剤療法はあまり効果的ではないとされていましたが、近年、良い薬が開発されて来たため、延命目的での使用も行われています。さらに、このがんに特徴的なのが待機療法と言われるもので、特別の治療を行わずに経過観察を続けるというものです。

 

 

前立腺がんの予防ってできるの?

和食中心の生活

欧米に前立腺がんの患者が多いことから、動物性脂肪や乳製品の多い食事といった食生活との関係が指摘されています。このため、植物性食品の多い日本食が予防効果を持つのではないかと期待されていますが、未だ、確実なデータは得られてはいません。

 

前立腺がんは早期に発見すれば手術や放射線治療で完治が期待できる上に、かなり進行した場合でも、適切に対処すれば、通常の生活を長く続けることができます。このため、前立腺がんの早期発見のために、50歳過ぎたら、内科か泌尿器科で年1回のPSA検査を受けるようにしたいものです。