前立腺肥大症ってどんな病気?

高齢の男性

前立腺は、精子に含まれる前立腺液を作る重さ10-15g程度の男性にのみある生殖器官です。

前立腺肥大症の発症は加齢と関係があり、日本人の高齢者の20%以上に見られる一般的な病気です。

この疾患の原因はまだ明らかになっていませんが、男性ホルモンの働きと関係していると考えられています。肥大した前立腺は大きなものでは100g以上にもなり、種々の不快な症状が現れてきます。

 

どんな症状が出ますか?

 

前立腺の肥大の進行に伴って、排尿障害の程度がひどくなって行きます。

初めのうちは、夜間頻尿、尿の出初めまでに時間がかかる、尿が細くなり終わるまでに時間がかかるなどの症状が現れます。

 

肥大の進行とともに、尿が完全に排出できなくなって膀胱内に常に尿が残るために、排尿後の残尿感がひどくなります。また、膀胱内に尿が溜まっていないのに尿意があって、トイレに行きたくなる過活動膀胱の症状が出たりします。

 

さらに、ドライブなどで長時間座ったままの姿勢でいた後に、突然、尿が出にくくなったり、あるいは出なくなったり(尿閉)することもあります。

 

さらに進行すると、膀胱の中の残尿量が増加して尿漏れを起こしたり、腎機能障害にまで至ることもあります。

 

 

泌尿器科を受診した場合、どんな検査をするの?

病院に行きましょう

これらの症状がある場合には泌尿器科を受診して下さい。まず、問診で尿トラブルの状況を確認しますが、その場合の基準となるのが国際前立腺スコアで、尿トラブルの度合いを数値化して確認することができます。

 

次に、尿検査と血液検査を行って、尿の状態と前立腺がんのスクリーニングのためにPSA値の検査を行います。PSAとは、前立腺から分泌される特殊なタンパク質で、一般的な正常値上限は4,0ng/MLで、これより上の数値ではがんの可能性が高くなります。ただし、前立腺肥大症の場合にも4,0ng/ML以上になることがあり、がんとの区別はこの数値からだけではできません。

 

特殊な尿検査として、尿流量測定と残尿量計測も行います。さらに、直腸診と言って、直腸から指を入れて直接前立腺に触れてがんの兆候がないかを確認します。また、超音波検査やMRI検査で前立腺画像診断も行われます。

 

 

病院で前立腺肥大症と言われましたが、がんではないのか心配です

PSA値が4,0ng/MLを超えてくると、病院によっては、前立腺がんの確定診断をするための前立腺生検を行うことを勧められると思います。しかし、できることならばこの検査を回避したいものです。

そんな時に、以下の指標が参考になります。

1)前回の検査時と比べて急にPSA値が上昇した

2)年齢ごとのPSA値のしきい値を超えている 

3)PSA値を前立腺容積で割った値が高い

4)タンパク質と結合しているPSAの方が結合していないPSAよりも多いなどの場合には、がんの可能性が高いとされています。

 

尿道検査や前立腺触診、あるいは射精の後でもPSAは上がります。ただし、これらはあくまでも参考に留めておいて、基本的には、医師の判断に従って下さい。

 

 

前立腺肥大症と診断された場合の治療方法は?

薬物療法

前立腺が大きくなって排尿困難のある人には、薬物療法を用いる必要があります。

前立腺が肥大すると、なぜ排尿困難が起こるのでしょうか?

それは、前立腺が大きくなるために、その中を通る尿道が圧迫されることによります。

 

このため、前立腺肥大症に使われる薬としては、前立腺の筋肉を緩めて尿の通りを良くする薬と、前立腺の大きさを小さくする作用のある薬が使われます。前者に相当する薬はα1受容体遮断剤と言うもので、古くからよく使われているものです。

この薬は、高血圧の治療用にも使われているため、前立腺肥大症と高血圧の両方の病気を持っている人は、必ず、医師にそのことを伝えるようにしてください。

後者に相当する薬は5α還元酵素阻害剤と言われるもので、長期間の服用により前立腺の縮小をもたらします。

また、男性ホルモンの作用を抑える薬も前立腺の縮小に効果があります。

これらの薬物療法で患者の症状が改善し、排尿困難の状態が改善することが期待できます。

 

薬物療法で効果が十分に得られない人には手術が行われます。

これまでは、尿道から内視鏡を入れて前立腺の肥大部分を電気メスで切除するTURP(経尿道的前立腺切除術)がスタンダードな手術法でしたが、近年、前立腺肥大症の手術法は大きく進歩してきています。

その中でも、実績のあるのがHoLEP(ホルミウムレーザー前立腺切除術)で、電気メスの代わりにレーザー光を照射して肥大部分を切り取る方法です。

この方法は、TURPでは手術が困難な大きさの前立腺肥大症にも適用できる上、手術中の出血が少ない、入院期間が短縮できるなど多くのメリットがあります。

さらに、光選択式前立腺レーザー蒸散術(PVP)と言って、緑色のレーザー光で前立腺組織を加熱・気化させる最新の治療法なども開発されてきています。

 

 

前立腺肥大症の予防法があったら教えて

前立腺肥大症の最大の敵は加齢ですが、これはどうすることもできません。従って、その予防法は、できるだけ前立腺に負担のかからないよう日頃から気を付けることです。それには、長時間の座位、お酒の飲みすぎ、辛い食事、便秘、体の冷えなどを避けるように心がけることです。

 

また、ノコギリヤシやカボチャの種といったサプリメントが前立腺肥大の予防に良いと言われますが、はっきりとした医学的データがあるわけではありません。